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No.001 妊娠・出産時の心と体のケア「個性に満ちた輝ける命を守る」

「ママ」という言葉はどこからきたのでしょう。

「マという発音」が、赤ちゃんが最初に自然に発音する言葉とも言われています。赤ちゃんにとって「ママ」は天使であり、聖母「マリア」なのです。これから「ママ」になろうとしている皆さんは、良き「マリア」になれるかなと多くの不安を感じておられると思います。今回はこのような不安を解消するための基本的な心構えをお話したいと思います。

まず自分の赤ちゃんに自信とプライドを持ちましょう

妊婦健診で胎児を超音波で確認できた時、妊娠中に胎動を感じた時、その喜びは最高ですね。しかし、「赤ちゃんは問題なく成長しているのかな?」と少し不安を感じ、考えれば考えるほど不安が募ってきます。でも大丈夫です。まずは自分の赤ちゃんに自信を持つことです。

今、あなたのお腹の中にいる赤ちゃんは、多くの関門を乗り越えることのできた「輝ける命」なのです。排卵は月に1回1個の卵子ですが、実はその一つの卵子は400万個の卵子の中から選択されています。その卵子と出会い受精できるのは、一回の射精で排泄される数億の精子の中のたった一匹なのです。そして、受精しても、実際に子宮内膜に着床できるのは、人の場合30%前後とされています。さらに着床しても15~20%が妊娠初期に流産します。

これらの関門は、「人として素晴らしい遺伝子」を次の世代の残そうとする自然淘汰なのです。この厳しい自然淘汰に負けることなく成長してきた「あなたの赤ちゃん」を、「世界にたった一つの個性を持った大切な命」と感じ、自信とプライドを持って10ヶ月を過ごしてください。この「個性に満ちた輝ける命」を、愛情を持って守り抜くのが「母性」です。

安全な出産に対する考え方をしっかりと持ちましょう

自然界の多くの生物は、次世代に自分達の子供たちを送り出すと、短い一生を終えます。また、子供たちが出生後の自然淘汰の厳しい現実に耐えて生き残れるようにと、魚や昆虫などは、一度に多くの子供を生みます。ある種の哺乳動物の母親は、出産の後に羊膜・胎盤を食べると言われています。それは出産のあとの「血なまぐさい臭い」を消して、新生仔が外敵から狙われにくくするためと考えられています。このように出産は、「生物にとって母児ともに命がけ」であり、動物の母親たちは自分自身を犠牲にしてまで、必死に子供達を守っています。

人の場合も同様で、21世紀の現在でも、世界では1分間に1人の母親が分娩によって亡くなっています。世界で1 年間に 1億 3000 万人の赤ちゃんが生まれますが、毎年 400 万人の死産があり、生後 1 週間未満に 400万人の新生児が死亡し、1 年未満に400 万人の乳児が死亡しているという現実があります。

でも心配しないでください。日本ではこの30年の間に、急速に母体死亡・新生児死亡が減少し、我が国より妊産婦死亡率の低い国は、カナダ、スウェーデン、オーストラリア、スイスの4か国だけとなり、「分娩は安全であるという神話」まで築き上げてきました。

これは医療者の懸命な努力の結果ですが、忘れてならないことは、「お産は安全ではなく、適切な医療を受けて初めて安全だ!」ということです。

「かかりつけ医」も「ご主人」も参加した「チーム医療」が将来の理想像と考えます

これからお母さんになろうとする皆さんは、母性の発現である初潮や妊娠を経験した時から、「自分の体は自分で守る」「次世代を担う最愛の子供は自分で守る」という固い信念と、女性の一生をトータルサポートしてくれる「産婦人科のかかりつけ医」持つべきだと思います。分娩は「かかりつけ医」が推薦する基幹病院で、「かかりつけ医」も「ご主人」も参加した「チーム医療」で行われるのが将来の理想像と考えます。

そのチームの主役は母親になろうとしているあなた自身であり、次世代を担う子供たちを、安全に障害を残すことなく分娩する方法(時には帝王切開も)を必死に考えていただきたいのです。そのためにも、医療者と充分にコミュニケーションを取り、意識を共有することが重要です。そして、お腹の赤ちゃんとの対話をいつも心がけてください。

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