静岡県浜松市の産婦人科・女性内科の専門クリニック

HPVワクチン

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV:Human papillomavirus)というウイルスの感染により起こります。母親になろうとする女性の約80%は一生に一度はHPVに感染し、多くは性交渉を経験する10~20代に感染が始まります。HPVは非常にありふれたウイルスで、感染しても自覚症状もなく、大部分は免疫力により自然に子宮頸部から排除されます。

しかし、約5~10%の人が、ウイルスを排除できず、感染が長期化(持続感染)します。持続感染によって異形成と呼ばれる前がん状態となり、さらにその一部の人が早期がん(上皮内がん)から、進行がんへと変化していきますが、その確率は千人に一人程度です。また、感染してから頸がんになるまでには少なくとも10年近くかかります。

HPVには100種類以上のタイプがあり、そのうちの約13~15種類が子宮頸がんの原因となる高リスク型といわれています。世界の子宮頸がん患者の約70%が高リスク型の中でも16型と18型であったため、この二種類のウイルスを標的としたワクチンが開発されました。

ワクチンの種類

現在接種可能なワクチンは、『ガーダシル』『サーバリックス』の2種類です。

『ガーダシル』『サーバリックス』ともに発がん性高リスク型の16型・18型の感染を予防します。

また『ガーダシル』は、尖圭(せんけい)コンジローマ(外陰部にできるイボ)を起こす6型、11型も予防します。

ワクチンの効果

16、18型による子宮頸部異形成(子宮頸がんの前がん病変)の発生をほぼ100%予防します。ワクチン先進国であるオーストラリアでは子宮頸がんが明らかに減少していることが確認されています。

また子宮頸がん予防の他にも、16、18型による外陰上皮内腫瘍や腟上皮内腫瘍の発生もほぼ100%予防でき、『ガーダシル』は尖圭コンジローマの感染予防にも有効性が確認されています。

両ワクチンともに、効果は20年くらい続くと予想されており、追加接種は不要と考えられています。本当にそうかどうかは、日本より7~8年前からワクチン接種をはじめた欧米の結果を参考にしていくことができます。定期的な子宮頸がん検診の際に追加接種の必要性が生じていないかどうか確認されることをお勧めします。

ワクチン接種の対象者

HPVワクチンは、HPVの感染を予防するワクチンです。そのため、セクシャルデビュー(初交)前に接種することが最も望ましく、12~16歳での接種が推奨されています。

この年代でワクチン接種をしなかった女性にはcatch-up 接種(追いかけ接種)も勧められています。すでに性交渉の経験がある女性でも、HPVには何度でも感染する可能性があり、感染すればそれだけ発がんのリスクが増えるため、それを防ぐためにもワクチンは有効です。

ワクチン接種の方法と費用

1~2回の接種では十分な抗体ができないため、必ず3回の接種が必要です。

接種は初回接種、1~2カ月、6カ月後の3回にわたって行います。

妊娠しておられる方や3回の接種を完了しないうちに妊娠された場合は、接種は出産後になります。

費用は『ガーダシル』、『サーバリックス』ともに3回接種で計51,500円(初回18,500円、2・3回目は16,500円)です。 なお2013年度から定期接種となり、小学校6年生から高校1年生相当の女子は無料で接種することができます。

ワクチンの副反応

ワクチンを接種した部分が痛んだり、赤くなったり、腫れたりことがあります。注射した部分の痛みや腫れは、体内でウイルス感染に対して防御する仕組みが働くために起こります。通常数日間程度で治りますので心配ありません。

また、予防接種を受ける時に緊張し、接種が終わってほっとして緊張がとれた時に、急にフラフラしたり意識がなくなるなど、いわゆる失神を起こすことがあります。特に思春期の若い人に起こりやすいと言われています。失神は採血など針を刺すだけでも起こることもあります。注射が苦手な人は事前に申し出てください。ベットに横になった状態で接種をおこなうなどの対応を致します。

この他に、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群、慢性疼痛(複合性局所疼痛症候群)などの副反応があらわれることがありますが、他のワクチンと同様頻度は非常にまれです。

このワクチンの接種は現在でも世界中で行われており、必要性や安全性などの問題で中止した国はありません。WHO(世界保健機関)も一貫して接種を推奨しています。

ワクチン接種と子宮頸がん検診~子宮頸がんは唯一予防可能ながん~

HPV ワクチンを接種することで16 型と18 型の感染をほぼ100%防ぐことができますが、全ての発がん性HPV の感染を防ぐことはできません。予防できるのは約70%の子宮頸がんであり、残り30%の子宮頸がんはワクチンでは予防できない型が原因となります。

そのため、子宮頸がんを完全に防ぐためには、HPV ワクチンの接種だけではなく、子宮頸がん検診を受けて異形成(前がん病変)の段階で発見することが大切です。ワクチン接種をした女性も、20歳になったら必ず定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。

最後に、HPVワクチンの接種は、次世代を担う子供たちへの思春期教育の絶好の機会と考えます。ワクチン接種を通じて家庭の中で「性」の問題を、「おおらかに話し合う」ことが大切だと考えます。

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