静岡県浜松市の産婦人科・女性内科の専門クリニック

子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍

図:子宮筋腫とは 出典:日本産科婦人科学会ホームページより引用
(http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/kinshu.html)

子宮筋腫とは

子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、いわゆる「こぶ」のような腫瘤であり、婦人科において最も多くみられる病気のひとつです。

女性ホルモン(エストロゲン)により大きくなることがわかっており、反対に閉経後には自然に小さくなることがほとんどです。

筋腫のできた場所によって区分されており、子宮の内側にできた筋腫は粘膜下筋腫、子宮の筋肉内にできたものは筋層内筋腫、子宮の外側にできたものを漿膜下筋腫と言います。

子宮筋腫の症状

もっとも多い症状は、筋腫によって子宮腔内の面積が大きくなるため、月経量が多くなります。また、月経痛を伴うこともあります。その他の症状としては下腹部の張りやしこり感、筋腫により膀胱が圧迫されるための頻尿(トイレが近い)に、腰痛などがあります。これらの症状は、筋腫の大きさと発生部位によって様々です。

粘膜下筋腫は小さくても、子宮腔内の変形・拡大のため症状が強く、月経量が多くなります。反対に漿膜下筋腫はある程度大きくなっても症状が出にくいのが特徴です。

また不妊症の原因となったり、流産や早産の原因となることもあります。

子宮筋腫の治療

手術療法

  • 子宮全摘術(子宮を全部とってしまう方法)
  • 子宮筋腫核出術(筋腫だけをくり抜く方法)

将来子供がほしい人には筋腫だけを取る手術を行い、すでにお子さんがおられ、挙児の希望がない方には子宮全摘術をお勧めします。

子宮全摘術は子宮を全部摘出するため、ふたたび子宮筋腫による症状で困ることはありません。卵巣は原則として摘出しないためホルモンバランスの崩れも心配ありません。

また最近ではこれらの手術に美容面も考慮して、腹腔鏡や子宮鏡を使って行う施設が多くなりました。ただし、全ての筋腫に対して腹腔鏡での手術が可能となるのでなく、筋腫の大きさや筋腫の発生場所によっては、安全最優先で開腹手術が選択されることがあります。

薬物療法

  • 対症療法(貧血や痛みに対して鉄剤や鎮痛剤を服用する方法)
  • 偽閉経療法(女性ホルモンを抑えて子宮筋腫を小さくする治療)
  • 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤

偽閉経療法は、月経が無くなり、また子宮筋腫が半分程度まで小さくなります。このため過多月経や月経痛などのつらい症状がなくなり日常生活が快適となります。しかしながら、治療により女性ホルモンが少なくなるため更年期症状が出る可能性があり、効果があっても半年間しか治療を行うことができません。治療を中止するとしばらくして子宮筋腫はまた元の大きさに戻ってしまい、症状が再度出現してきます。このため、手術前に一時的に使用する場合や、閉経に至るまでの一時的治療(逃げ込み療法と呼ばれています)として行います。

また対症療法の一つとして低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(低用量ピル)を服用する方法があります。服用することで月経量が減り、月経痛も軽減されます。また偽閉経療法でみられる更年期症状の副作用も出ないため比較的行いやすい治療法になります。

当院での子宮内筋腫の治療方針

子宮筋腫は多くの女性に認められますが、全ての筋腫が必ずしも治療が必要なわけではありません。
経過観察のみで充分な場合も多くあります。気になる症状がある場合、あるいは子宮頸がん検診と合わせてまずはエコー検査を受けてみませんか。

  • 経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、子宮筋腫の大きさ、発生部位、数を正確に把握します。
  • そのうえで、患者さまの年齢、妊娠・出産の希望、症状の強さ、子宮筋腫の大きさや発生部位などを総合的に判断し、最適な治療法を提案します。
  • そして手術が必要な場合は、信頼できる基幹病院へご紹介させて頂きます。

図:子宮内膜症とは 出典:日本産科婦人科学会ホームページより引用
(http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/naimakushou.html)

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、本来子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜の組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹腔内、腸など)に発生するために起こる病気です。

月経時期になると子宮以外の場所に発生した子宮内膜も剥離・出血しますが、血液や内膜を体外に出すことができず、体内に溜まります。その結果、卵巣内に血液が貯留し嚢胞を形成(チョコレート嚢胞)したり、出血による炎症が原因で骨盤内臓器の癒着が起こり、様々な症状を引き起こします。

子宮内膜症は増加しています

子宮内膜症にかかる女性は10人に1人といわれており今後も増加すると予測されています。女性のライフサイクルが変化し、初産年齢が高齢化し、出産回数が減少したことから生涯に経験する月経回数が多くなりました。
月経回数が多ければ、それだけ子宮内膜症にかかるリスクも高くなるのです。
いわゆる現代病の一つと言えるのではないでしょうか。

子宮内膜症の症状

月経痛、月経時以外の腹痛、排卵痛、月経過多などが見られます。この他、性交痛や排便痛も特徴的な症状です。また不妊症につながる可能性もあります。

子宮内膜症による痛みは、初経後数年間はひどくなかったものの、年齢とともに徐々に増悪するという特徴があります。この痛みが、子宮内膜症の女性たちを最も悩ませ、QOL(生活の質)を低下させてしまう最大の症状です。

子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療方法には、薬物療法と手術療法があり、年齢、妊娠の希望、症状の強さ、病変の重症度などを考慮して選択します。

薬物療法としては、対症療法と内分泌療法があります。
妊娠の希望がある場合には、まず鎮痛剤で対症療法を行い、十分な効果が得られない場合には、必要に応じ手術療法や内分泌療法を追加します。

子宮内膜症は、閉経するまで付き合っていかなければならない慢性疾患であり、長期の治療が必要となります。このため、QOLの改善・維持に十分な効果を認め、副作用が少なく、経済的負担の少ない治療法が理想的と考えます。

子宮内膜症治療に使用する薬剤

対症療法

鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬・NSAIDs)
対症療法に用いる鎮痛剤は、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質を抑える薬です。痛みを限界まで我慢している人が多いのですが、痛みがひどくなる前から服用したほうが効果が高いため、結果的に薬の使用を最小限に抑えることが可能となります。我慢せず早めに服用するようにしましょう。

内分泌療法

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(OC・低用量ピルと同種の薬剤)
子宮内膜の増殖を抑制し、痛みの原因となるプロスタグランジン産生を抑えることで効果を発揮します。現在月経困難症に対して保険適応となっている低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠が2種類あります。
またOC・低用量ピルと同種の薬剤であるため、避妊効果、月経前症候群の症状緩和効果、にきび・肌荒れに対する効果を併せ持つ薬剤です。
薬剤費負担も他の内分泌療法と比較して少ないため、当院では鎮痛剤(NSAIDs)とともに第一選択の治療としてお勧めしています。
黄体ホルモン療法(ジェノゲスト)
子宮内膜症病変に対する効果が高く、痛みに対して非常によく効く薬剤です。また副作用の心配が少なく長期に使用することが可能な薬剤です。
子宮内膜症の重症度が高い方、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠の効果が不十分な方にお勧めの治療法です。
GnRHアナログ療法(偽閉経療法)
人工的に閉経状態をつくる治療法です。黄体ホルモン療法(ジェノゲスト)と同様に、子宮内膜症の重症度が高い方、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠の効果が不十分な方にお勧めの治療法です。
月経を止めるため効果は確実ですが、6か月以上の連続治療ができません。効果が出た段階で、他の内分泌療法や手術療法への切り替えを行います。

当院での子宮内膜症の治療方針

適切な治療を行うことで、うまく付き合っていくことが可能な疾患です。 月経痛に我慢は禁物です!

  • 当院では、経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、子宮内膜症の程度、卵巣の腫れの有無などを正確に診断します。
  • そのうえで、症状の強さ、年齢、妊娠・出産の希望、病変の重症度などを総合的に判断し、最適な治療法を提案します。
  • そして手術が必要な場合は、信頼できる基幹病院へご紹介させて頂きます。

図:卵巣腫瘍とは 出典:日本産科婦人科学会ホームページより引用
(http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/ransoushuyou.html)

卵巣腫瘍(卵巣のう腫)とは

卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常2~3cmぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、そのうち内部に液体の溜まった袋状の腫瘍を卵巣のう腫と言います。水風船をイメージすると分かりやすいと思います。

のう腫内に溜まる内溶物は原因となる細胞の違いにより、漿液性腺腫、粘液性腺腫、成熟のう胞性奇形腫(皮様のう腫)など多くの種類があります。

卵巣腫瘍の症状

卵巣腫瘍の症状には腹部膨満感(お腹が張って苦しい)、下腹部痛、頻尿などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現することが多いのです。時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。

卵巣腫瘍の治療

卵巣腫瘍が見つかっても、良性で症状が無い場合は治療をしないこともあります。その場合、定期検診にて腫瘍が大きくなったかどうか経過観察をします。

治療が必要と判断した場合は、手術療法があります。症状、妊娠・出産の希望、腫瘍の大きさや種類、年齢を考慮して判断します。

明確な基準はありませんが、一般的には大きさが5~6cmくらいまでの卵巣のう腫は外来での定期的な経過観察となります。5~6cmを超える卵巣のう腫は捻転、破裂の可能性なども出てくるため手術を考慮します。

またある程度の大きさになると、悪性の可能性も考えなければいけません。卵巣のう腫手術は悪性ではないことを確認するための方法でもあります。

当院での卵巣腫瘍の治療方針

  • 経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、大きさ、腫瘍の種類、悪性腫瘍の可能性がないかどうかなどを正確に診断し治療の必要性を検討します。
  • 手術に関しては、最近は開腹手術ではなく、侵襲の低い腹腔鏡下手術が選択される場合が増えています。開腹手術に比べると体への負担が少なく回復が早いため、入院期間が短く、退院後も比較的早期に仕事復帰することが可能となります。
    このため、卵巣腫瘍の手術が必要と判断した場合は、腹腔鏡下手術を行うことができる専門病院へご紹介させて頂きます。
  • 卵巣腫瘍は”silent tumor(沈黙の腫瘍)”と言われ、一般に症状が無いことが多く、子宮頸がん検診の際に偶然見つかることが少なくありません。
    ぜひみなさまもご自身の卵巣を一度チェックしてみませんか。

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