静岡県浜松市の産婦人科・女性内科の専門クリニック

月経に伴う異常2

月経困難症とは

生殖年齢の女性の約75%(4人に3人)が月経痛を自覚しており、約45%(2人に1人)の女性が鎮痛剤を内服していると言われています。
月経痛がひどくて起きていることができず、学校や仕事に行けなくなったり、日常生活に支障をきたしたりする場合を月経困難症といいます。
月経困難症の原因は、子宮内膜から産生されるプロスタグランジンによる子宮の過収縮や虚血といわれています。つまり簡単にいうと、妊娠に至らず不必要となった子宮内膜を体外に排出しようと子宮の収縮が強く起こるために感じる症状なのです。

おもな症状は、月経中の下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、下痢、貧血症状などです。
月経困難症には、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2つがあります。

機能性月経困難症
特に原因となる病気がないものを機能性月経困難症といいます。
特に十代の若い女性に多く、歳を重ねるとともに弱くなっていくのが特徴です。
月経の出血量が多い月経の初日から2日目に特に強い月経痛がみられます。
器質性月経困難症
月経痛が月経期間中ずっとある場合や、月経後まで続く場合は、子宮に何らかの病気がある可能性が高くなります。また、以前にはなかった月経痛が急に起こるようになった場合も注意が必要です。
多くは20代以上で起こり、加齢とともに強まっていく傾向があります。
器質性月経困難症の原因となる病気は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症(子宮内膜症の一種)などです。これらの病気の有無を確認しておくことは、月経痛に対処するうえで非常に重要となります。

月経痛・月経困難症の治療

1.鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬・NSAIDs)
鎮痛剤には、痛みの原因となるプロスタグランジンを抑える作用があります。
その使用法は、痛みが強くなってから服用するのではなく、月経開始と同時、あるいは月経開始の予兆が出現したらすぐに使用する方がより有効です。
子宮がまだ十分に大きくなっていない10代女性の月経痛に対しては鎮痙剤(ブスコパン)が有効な場合があり、鎮痛剤と併用することもあります。
2.低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(OC・低用量ピルと同種の薬剤)
子宮内膜の増殖を抑制し、痛みの原因となるプロスタグランジン産生を抑えることで効果を発揮します。つまり月経血の量が少なくなるため痛みが弱くなると理解して下さい。
現在月経困難症に対して保険適応となっている低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠が2種類あります。これらの薬剤は月経痛緩和作用のみならず、避妊効果、月経前症候群の症状緩和効果、にきび・肌荒れに対する効果を併せ持つ薬剤であり、当院では鎮痛剤(NSAIDs)とともに第一選択の治療としてお勧めしています。

月経痛は多くの女性が悩んでいる症状ですが、上手に対処・治療を行うことで、うまく付き合っていくことができます。 月経痛に我慢は禁物です!

当院での過多月経への対応

  • 当院では、内診および経腟・経腹超音波検査を用いて、子宮筋腫や子宮内膜症など器質的な病気の有無を正確に診断します。
  • 思春期の女性や性交渉の経験のない方には、無理な診察(内診)は避け、経腹超音波検査で病気の有無を確認します。
  • そのうえで、月経痛の強さ、年齢、妊娠・出産の希望、器質的な病気の有無などを総合的に判断し、最適な治療法を提案します。

過多月経とは

月経の量が多い(過多月経)については、月経量を計測しているわけではないため、客観的な評価は難しいと言われています。一般的に、月経血量は20~140g、 平均50~60g とされており、通常150ml以上であれば過多月経と考えられています。

ナプキンが1時間ももたなかったり、昼間に夜用ナプキンを使っても漏れてしまうほどの出血があったり、レバー状の血のかたまり(凝血)が2日以上にわたってみられる場合や、貧血をともなうような場合、過多月経の可能性があります。

過多月経の原因と診断

過多月経にはさまざまな原因が考えられ、婦人科器質的疾患、機能性疾患以外に内科的な基礎疾患についても留意しなければいけません。

1.婦人科器質性疾患
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症などが代表的な病気です。 30代以降の女性の場合は、これらの病気が増えるため、内診、経腟および経腹超音波検査やMRIなどで診断します。 また、悪性疾患である子宮体がんの可能性も考えられ、悪性腫瘍の除外診断は非常に重要です。
2.婦人科機能性疾患
黄体機能不全や無排卵性月経周期症など、いわゆる女性ホルモンバランスの乱れが原因で出血を起こし、結果として過多月経になる場合があります。 10代から20代の比較的若年者と閉経近くの40代後半の女性に多くみられます。 この年代の女性においては、このホルモン異常を念頭に置く必要があり、詳細な問診と基礎体温の測定やホルモン検査を行い診断します。
3.内科的疾患
血液疾患など内科的疾患が基礎にあり、止血凝固機能の異常により血液が固まりにくく出血しやすい状態で、結果として過多月経を生じることがあります。過多月経の精査で結果的に血液疾患が診断される場合もあります。

過多月経の治療

機能性過多月経の場合は、貧血治療を行いながら、これと並行して、プロゲスチン製剤や、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(OC・低用量ピルと同種の薬剤)投与などのホルモン治療を行い、月経量をコントロールします。

器質性過多月経の場合は、原因となっている病気の治療が第一です。しかし、子宮体がん以外の良性の病気では、すぐに手術をするのではなく、鉄剤(貧血治療薬)を内服して改善するかどうかを調べます。 治療を行っても貧血が進んでしまう場合や、過多月経によって生活に支障をきたしてしまう場合には、手術療法や、月経を一時止めて閉経の状態をつくる偽閉経療法を行ないます。

手術方法には、子宮ごと摘出する単純子宮全摘術、または筋腫だけを切除する筋腫核出術などがあります。
年齢、挙児希望の有無、子宮温存の希望の有無などにより、治療方針を選択します。

あなたの月経量は大丈夫?

過多月経は、気づかず放置され、貧血が進んでから病院を受診される方が少なくありません。また、大量出血や重症な貧血のため、輸血を行わなければならないこともあります。慢性的な過多月経の場合、月経量の多さに慣れてしまい、気が付きにくいこともあります。少しでも気になることがあれば自己判断せずに受診されることをお勧めします。

当院での過多月経への対応

  • 当院では、内診、経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、子宮筋腫や子宮腺筋症などの器質的な病気の有無を正確に診断します。思春期の子供達には、負担のない経腹超音波のみで対応いたしております。
  • 貧血を認める場合は鉄剤の内服や静脈注射を用いて治療を行います。貧血検査は検査当日に結果をお伝えし迅速な対応をするよう心がけています。
  • そのうえで、年齢、妊娠・出産の希望、器質的な病気の有無などを総合的に判断し、最適な治療法を提案します。
  • そして手術が必要な場合は、信頼できる基幹病院へご紹介させて頂きます。

月経前は何故イライラするのですか?

生理が終わってから排卵までの低温期は比較的体調が良く、性格も明るくなり、魅力的だったのに、生理前になると体調不良になり、人が変わったように突然イライラし攻撃的になったり、落ち込んだり、眠くなり仕事の集中力が落ちる女性を多く見かけます。

この現象は決して彼女の性格に問題があるわけでなく、女性ホルモンの変化に敏感に女性が反応するためです。女性ホルモンはある意味「母性ホルモン(妊娠を可能にし、胎児を守るホルモン)」なのです。

排卵を中心に卵巣から低温期はエストロゲンが、高温期はプロゲステロンがダイナミックに分泌されています。エストロゲンは妊娠を促進させるホルモンですので、女性を魅力的(明るく・美しく・セクシー)にして、素晴らしい男性を探そうとします。排卵期に性交が完了すると、妊娠を維持し胎児を守ろうとして、黄体から大量のプロゲステロンが放出されます。プロゲステロンは胎児を守る作用が強く、母性を最優先させ、女性をイライラさせたり、気持ちを落ち込ませたりして、男性を近づけないようにさせます。また眠気が増したり、集中力が低下し自宅に引きこもりたくなるのも、妊娠しているかも知れない高温期は、お腹の赤ちゃん(胎児)のために無理をしないでと黄体ホルモンが警告を出していると考えてください。

このように、ほとんどの女性が、排卵後から生理前にイライラし、体調不良になり、月経開始とともに、これらの症状が消えるのを経験しているのです。これは生理的変化であり、母性そのものだと先ず自信をもつことが大切です。

月経前症候群とは

月経前3~10日の高温期(黄体期)の間続く精神的あるいは身体的症状が非常に強く、日常生活が障害され、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。 PMS:Premenstrual Syndrome(月経前緊張症とも言う)と診断されます。

月経前症候群の症状

下腹部痛・膨満感、頭痛、腰痛、むくみ、ニキビ・肌あれ、乳房の張り・痛みなどの身体的症状と、情緒不安定、いらいら感、気分が沈む、不安感などの精神神経症状があります。 月経が始まる1週間前から症状が現れる人が多いのですが、排卵直後から症状が現れる人、2、3日前に集中する人など個人差があります。

月経前症候群の症状のうち、精神神経症状が特に悪化して日常生活に支障をきたすような症状を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。うつ、気力の減退をベースに、絶望感にとらわれたり、涙がとまらなくなったりする人もいます。また反対に、イライラしたり、怒りっぽくなったり、攻撃的になったりする人もいて、感情のコントロールが難しくなります。感情の爆発を周囲にぶつけると、人間関係や社会活動にも支障をきたすことにもなります

月経前症候群の原因

月経前症候群の発症には、月経前に増加する女性ホルモン、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響が指摘されていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

最近の研究では、黄体ホルモンが脳内の活性物質であるセロトニン(うつ状態を引き起こす物質)の異常を引き起こしていると考えられています。しかし、月経前症候群は一つの原因からではなく多くの要因から起こるといわれています。

月経前症候群の治療

まず、基礎体温を測定しながら、症状を記録してみましょう。明らかに排卵後の高温期に症状が出現します。高温期は黄体から妊娠維持の(胎児を守る)目的で大量の黄体ホルモン(プロゲステロン)が放出されます。多くの不快な症状は、流産防止として仕事より家庭での安静を促しているサインだとpositiveに考えるようにしてみてください。ゆったりと、こころとからだを休める時期だと考えてみてはいかがでしょうか。気分転換をはかったり、肩ひじ張って頑張りすぎないようにしてみたり、ストレス発散法を見つけることで、月経前症候群の症状の多くを克服出来ることがあります。

薬物療法としては、低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(OC・低用量ピルを含む)を内服する方法があります。低用量ピルを服用することで、排卵を抑制し、エストロゲンとプロゲステロンの排卵を中心とした大きなうねりのようなホルモン変動を少なくすることで、気分変動が解消されると言われています。

この他、痛みに対しては鎮痛剤の投与、むくみに対しては利尿剤や抗アルドステロン療法(尿量を増やす方法)、精神神経症状に対しては、抗不安薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(SSRI)、漢方療法などがあります。

当院でのPMSの対応

  • 一人で悩まず受診し、おおらかに治療を受けましょう
    日本では月経前症候群、月経前不快気分障害の認知度が低く、一人で悩んでいる人も少なくありません。症状を客観的に受けとめ、つらさを少しでも軽減するために、受診をおすすめします。特にイライラやうつは、あなたが悪いのではありません。病態を詳しく説明させていただくことで、女性としての自信と本来の自分を取り戻すことができると思います。
  • 基礎体温を測定しながら、症状を記録することをお薦めします。
  • 症状が強い方には、低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(OC:低用量ピル)を第一選択薬として考えております。
  • 各患者様の症状・希望などをお聞きし、漢方薬、鎮痛剤、片頭痛薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等をうまく組み合わせながら症状緩和に努めます。ご遠慮なく御申し出ください。

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