静岡県浜松市の産婦人科・女性内科の専門クリニック

素敵なシルバー世代を

人は最高何年生きることができるのでしょうか

写真:更年期の原因はエストロゲンの減少
Photo by LUNA・SOLE

「ヘイフリックの限界」という言葉をご存じですか。一般に、動物のからだを構成する細胞は限られた回数しか分裂・増殖することができず、その限界は細胞が由来する組織、生物の種類によって異なります。例えば、ヒトの胎児から採取した細胞では、およそ50回の分裂が限界で、いくら環境(培養条件)を良くしても死んでしまいます。アポトーシスと言われています。

これをもとに人間の寿命を計算すると120歳までが生きる限界です。正常細胞が必ず死を迎えるように、細胞で構成されている人は必ず老化し、死を迎える宿命を持っているのです。
一方、細胞の老化・死滅は細胞の異常な増殖を防ぎ、がんの発生を予防する生体の防御機構のひとつだと考えられるようにもなりました。多くの生物が子孫を残し死に至るように、人(女性)も成熟期に未来を担う子供を出産し、更年期を迎え、老年期を経て死を迎えるのは、進化しながら人類をバトンリレーしていく「人類の防衛機構」と考えることができます。

多くの動物が老化の時間(老年期)が比較的短いのに比較し、人は医学の発達により最大寿命の120年に向かって、平均寿命が延びています。人類が初めて経験する超高齢化社会の中で、老化していく体に向き合いながら、苦しみや障害や孤独の中で生きるのでなく、健康で豊かな素晴らしい老年期を過ごす秘訣を考えてみましょう。

素敵なシルバー世代を創造してみましょう。

シルバー世代とは

確かに年齢とともに生理的機能は低下し、まわりの多くの人のお世話になることが増えるかもしれません。老害ではなく、加齢が評価され、高齢者でもしっかりした役割があるような社会では、高齢者は元気でいられるのではないでしょうか。若者たちのようなまぶしいほどの輝きはありませんが、高齢者にはそれこそシルバーのような深みのある輝きがあります。歳をとるにつれて、精神も身体と同様に衰えますが、少しでも気力を充実させ、常に前向きであり続けるには意欲が必要と思います。「前向き思考:positive thinking」が大切です。

加齢に伴い神経伝達物質のセロトニン系の変化が重要な役割を果たします。セロトニンを感じ取るレセプターが高齢者では55%減少していると言われています。前頭葉は「実行機能」と呼ぶ認知能力を司り、計画立案・時間管理能力・関心の持続・やる気に関係しますが、老化した脳では前頭葉の組織が5~10%減少しています。明らかに老化により脳の機能が低下しているのは事実です。

しかし、脳は柔軟性のない細胞のネットワークではなく、高齢者になってもニューロンの結合は柔軟に変化し、結合することも可能で、「脳は死ぬまで柔軟性を失わず、生きている限り脳を発達させられる」という科学者もいます。

この社会生活の中心で脳を賦活し続けるようにすれば、素敵なシルバー時代を継続することができると考えます。例えば、ウォーキングからスタートし、趣味の会(俳句・囲碁・観劇など)などに積極的に社会参加をすることです。ボランティア活動などで、自分の存在価値を知り、知的探求を怠らないことです。万一、社会的な支援を受けなければならなくなっても、他の人と積極的に関わり、感謝の気持ちをもつことが大切です。そして笑顔です。辛い時も、表情筋を動かして作り笑いをしてみましょう。それだけで副交感神経が優位になり、リラックスした脳の活動(前向き志向)が得られます。数百万人も「団塊の世代」が老齢化した時、このような前向き志向の気力の充実したシルバー世代が多くなれば、世の中は輝かしいものになると思います。

シルバー世代の特徴的疾患

一個の受精卵が60兆個の細胞に分裂増殖して、われわれは成長してきました。この成長・増殖を司る遺伝子(車のアクセル役)をがん遺伝子と言います。一方、異常に増殖しないように(癌にならないように)増殖を制御する遺伝子(車のブレーキ役)をがん抑制遺伝子と言います。すべての人ががん遺伝子とがん抑制遺伝子のバランスが良好な状態で、人として生き、次の世代を送り出し(命のバトンリレー)、人生の終末を迎えるのです。

この世に誕生した時、われわれの体は誰もが頬刷りをしたくなるような新生児の艶やかさを持っています。生まれた時は新車です。60年以上同じ車で人生という高速道路を走り続けると、必ず部品が少しずつ消耗してきます。

車の部品の中で最も大事故につながる消耗は、ブレーキの故障(がん抑制遺伝子の損傷)です。ブレーキが故障すると、アクセル(がん遺伝子)が異常に興奮して、癌が発生します。このように、全ての人は老化と共に、癌になる宿命を持っていると言えます(二人に一人)。

また、各部品の故障が起こり、車の車体の骨組みの老化が骨粗鬆症、エンジンの不調が心臓病、オイル系統のつまりが高脂血症、高血圧、サスペンジョンの不調が膝関節炎などです。

いくら素晴らしい車であっても、安心して乗るためには1~2年に1回の車検が必要です。自分の体も安心して楽しく過ごすために年1回の車検(人間ドック)を受けましょう。

癌を含めて早期発見することで、120年の人生を全うできると思います。

老齢をどのように感じるかは、その人の主観です。自分の体の声に耳を傾け、上手に自分の体と付き合っていくことが大切だと思いいます。自分の体と折り合いをつけて、自分のできる範囲で自分が楽しめる仕事・趣味を持ちましょう。朝起きた時に生きている自分に感謝し、その日一日を無理せずきらきらと輝いてみましょう。目標は100年楽しく生きて、家族の負担にならない一週間の病院生活で死を迎えたいものです(One century, One week!)

当院での老年期婦人に対する診療の特徴

  • シルバー世代の女性は、年齢に比較し若く見えたり、老けてみえたり、個人個人の格差が非常に大きな年代です。その個人・個人にあった「QOL(生活の質)」を重視した診療・治療・アドバイスを提案致します。
  • エストロゲン不足に伴う性機能の低下などでお悩みの方も、遠慮せずに御相談ください。
  • シルバー世代は、癌好発年齢です。性器出血・腹部膨満・乳房腫瘤など少しでも不安を感じたら受診してください。患者さん個人の年齢に応じた侵襲の少ない方法で子宮頸がん検診、子宮体がん検診、卵巣がん検診、乳がん検診を実施いたします。
  • 子宮脱、膀胱脱、尿漏れ(過活動膀胱)など、ご自分一人でお悩みにならずご相談ください。個人個人の症状に合ったオーダーメードの治療を提案します。

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